ろぐれこーど

限界組み込みエンジニアの学習記録とちょっぴりポエム

会社が買収されたのを機にキャリアを考え直して転職した話

この度一念発起して転職したのでその記録。外的要因もまあまあ強いため参考にはならないかもしれませんが、今の時代「自分の会社が倒産しない」と言い切れる業界はほぼなく、あっさり買収されて環境激変することも容易にあり得ます1。そんな時できることは何か、あるいはそうならないように必死に働くか(一人で頑張ってもあんまり意味ないけど)、日頃から考えておくのが良いと思います。

以下略歴

  • 地方国立理系院卒29歳♂(実務経験4年6ヶ月)
  • 情報工学専攻(画像処理とか機械学習とかやってた)
  • まあまあホワイト(高待遇)で有名な企業の車載部門に入社
  • 伸び悩んではいたが利益率 4~5%ぐらいは出ており、グループ的には主力事業の一つだった
  • 連日誌面を賑わせてるアレな会社(業績はすごい) に買収される

なんでやめたの?

M&Aにより事業方針が大きく変わった&待遇が目に見えて悪化していったので、出るなら早い方が良いと判断しました。

主な業務はモータ制御に関するECUのソフトウェア開発でしたが、実態としてはハードの下回り部分のみ受託して作っており、肝心の制御部分や通信・診断など付加価値の高いアプリケーションは客先担当というものでした。いわゆるTier2という立場ですね。まあ下回りでもプラットフォーム化して移植性高くしてやればソフト的な価値はあるんですが、ガチガチのハード依存&仕向けごとに別開発のためソフト共通化もノウハウ共有もうまくいってないことが多かったです。AUTOSAR準拠もできずに「とりあえず客先モジュールは実装できるような状態」にしてる、みたいな。結構そういう組織は多いんじゃないでしょうか。知らんけど。

そういった組織では基本的にハード主体で開発が進められることが多いと思います。角度補正や制御、各種信号のフィルタ設計など工学っぽくて面白そうな部分は客先 or 社内ハード担当が検討することになり、ソフト担当は基本的に言われたことをやる御用聞きに回っていることが多かったです(あるあるかもしれん)。

この時点で業務への満足度はかなり低かったのですが、一方で「流石に制御技術とか自社内で持ってないのはどうなのよ」って会社も思ってたようで、そこを強化する方針には概ね同意していました。ですが事業方針転換により足元の業績優先(親会社の注力分野への資金確保)のためにより受注額が大きい案件を取りに行くようになり、自社内の制御技術開発が無期限停止となって今に至ります。

そもそも入社時は、制御系よりはセンサーやIVI系など「情報処理が主機能」の製品の方が関心が高かったのですが、元々やっていたセンサー関連事業は金がかかるってことでこれも買収後ポシャりました。まあビジネスはシビアだししょうがないね。これが弱小車載メーカーの現実です。

待遇面では、まず基本給が下がりました。詳細は割愛しますが、結構騙し討ち的に下げられたためここで不満・不信感を持って去っていった人はまあまあいた印象です。あとは財形貯蓄など一部福利厚生も無期限停止されたり、交通費や年金(DCの会社拠出額)をジリジリ減らされたり。まあ赤字なら仕方がないんですが、度重なるコスト削減により、営業利益率10%は出るようになったのに目標過達を要求され待遇は悪化していくという不思議な感じになってました。偉い人曰く「10%以下は赤字、15%は達成せよ」とのこと2。なんも言えねえ。。。

ネガティブな理由ばかり並べましたが、ある意味強制的に環境を変えられたため本気で今後のことを考える良い機会にはなりましたね。

転職活動

現職の経験から「言われたものを言われた通りにきっちり作る(それ以外はしない)」みたいなのは性に合わないなと思い、かつ興味のある領域をざっくり考えてみたところ

  • 組み込みソフトのスキルをある程度活かせる(must)
  • OSやプラットフォームなどコアな部分をつくれる
  • 付加価値の高いアプリケーションやサービスを上流からつくれる

みたいなのに落ち着きました。2番目と3番目は両立は難しいので、より上流側に行く/コアな部分を極める の2択と考えてました。ただ、やはり下回りをガッツリ作っているところは少ない印象です3。それ自体を自社製品として売り出しているところはさらに少ないので、自社ではなく受託を含めて検討してみました。

転職サービスはdodaビズリーチを使っていました。doda(だけじゃないかもだけど)はエージェントの当たり外れがひどいと評判ですが、自分は当たりだったのか好みの求人を持ってきてもらえることが多かったです。ただメールは多いので覚悟したほうが良い4。最初は色々な会社を知るために目を通してましたが、途中からノールックでゴミ箱行きでした。あといきなり外人のスカウトから電話かかってくるのはびっくりするのでやめてほしい。

ビズリーチは企業から直接スカウトもらえるのは嬉しいですね。何度か企業の人事担当とお話ししましたが、なんとなく自分の相場観というものが測れる気がします。エージェントも評判良いらしいのですが、2社同時並行でやり取りできる自信がなかったのでやめました。もし次転職するときはビズリーチ使うかも。

そんなこんなでいろいろ探して7社ぐらい応募したところ

  • 4社 書類落ち
  • 1社 一次面接落ち?(合否前に辞退)
  • 2社 内定

となりました。車載関係ないとこ(半導体系とか)も応募してみたんですが、意外と書類が通らないもんですね…まあその程度の経験しか積んでいないと言われればそれまでですが…

内定をいただけたとこについて軽く書きます。

大手メーカー研究開発部門の子会社

大手メーカーの研究開発部門の子会社として、ソフト開発を受託している会社です。自社ではハードを作らず、ソフト領域を上流〜下流まですべて手がけるという立ち位置でした。

人事担当が親会社の元研究職だったらしく、面接時にやたらソフトウェア開発に対する姿勢とか品質担保の考え方みたいなことを重点的に聞かれてちょっと焦りましたが、なんとか乗りきりました。この手の質問はプロセスとトレーサビリティと上流でのあくなき折衝を持ち出しておけば否定はされにくいと思います。それ以外の面接官は形式的だったのでそこまで印象に残っていない…

あとwebテスト(おそらくCABと呼ばれるもの)を受けました。法則、命令、暗号といった初見ではまあまあ難易度高いやつです。体感半分も解けずに絶望してましたが、なぜか通ったので中途採用においては参考程度にしか見ていないのかもしれません。webテストだめだめでも全然挽回できるよ!

最終的に内定を頂けましたが、より志望度の高いところに内定したため辞退しました。

大手SIer組み込み子会社

就活人気ランキング常連の大手SIer…の子会社です。グループ内での組み込みシステム開発の中核を担っており、プライム案件もそこそこある&ソフトの内製率が業界内でも高いのが強みだそうです。組み込み機器だけでなくクラウドやサーバ技術も自社で持っており、IoTサービス開発に力を入れている点に非常に魅力を覚えました。車部品の下請けの下請けやってた田舎っぺには眩しすぎる。

1次面接で焦りすぎてめちゃくちゃしどろもどろになり「絶対落ちたわ」と思っていましたが、逆質問で技術習得についての熱意をアピールしまくった結果なんか通りました(それが主因じゃないかもだけど)。意外とわからんもんだね。2次面接は特に問題なく終わったのでほぼ記憶にないです。webテスト(たぶん玉手箱)は言語と計数でしたが、だいたい7割ちょいは解けた気がするので心配はなかったですね。

無事内定をいただき、承諾しました。

これから

新天地で、まずはコックピット系の車載部品開発に携わりそうです。今まではNonOSなシステムしか触ったことないのに組み込みLinuxとかやることになりそうで戦々恐々としていますが、やっていきの精神で頑張ります。

その後はその時やりたいことに飛びついていく感じでいこうかなと思います。自分が飽きっぽいというのもありますが、一つの分野を突き詰めて価値を出すというのが存外難しいことなのだと社会人になって常々感じていたので。前職ではそれなりに貴重なハード周りのソフト開発経験を積めたので、これからは組み込みに軸足を置きつつクラウドとかWebとかやるのかもしれません。あいおーてぃー人材目指す。


  1. 大手の子会社ほど安心できません。その時点で不採算事業でなくても、親会社からすれば「未来のない事業を人ごと手放せる」のはかなり都合のよいリスクヘッジになります

  2. ちなみに車載部品で営業利益率15%はバケモンです。そもそもが薄利多売を前提とした事業形態であり、多くの企業は良くて5~8%ぐらいなので。

  3. 内製とかならなくはないが、そういうとこはモロに事業環境の影響を受けてあっさり望まない方向に方針転換する(経験談

  4. dodaにはエージェントとスカウトサービスの二つがあり、後者のメール量が尋常じゃない(その上求人の質も低い)